
この作品は、当初中央の銃のみを制作する予定でしたが、制作を進める中で、周囲の環境まで作り込むことで作品全体がより魅力的なものになると確信し、現在の形に仕上げました。銃本体は複数のリファレンス画像を参考に忠実に再現しましたが、周辺オブジェクトの種類や配置については、特定の参照資料に頼らず、私自身の感性を頼りに構成しました。
制作における工夫点は多岐にわたります。
一つ目は照明です。一般的なライトではなく、ゴッドレイを採用しました。これにより、作品の主役である銃を効果的に照らし出すだけでなく、窓から差し込むわずかな光が周囲に独特な雰囲気を醸し出し、画面には直接映らない部分でも窓の形が影として浮かび上がるように演出しました。
二つ目はオブジェクトの配置です。手前から奥へ向かうにつれてオブジェクトの平均的な大きさを段階的に大きくしていくことで、多数のオブジェクトを配置しても全体のバランスが保たれるよう工夫しました。
三つ目は周辺オブジェクトの材質です。周囲のオブジェクトをなるべく金属製にすることで、少ない光でもオブジェクトのエッジが際立つようにしました。一方で、金属製ではないオブジェクトは、可能な限り光が当たるように配置を調整しています。
四つ目は使用感の表現です。オブジェクトを倒したり、ケースに完全に収めずに配置したり、汚れを加えたりすることで、単に「使用感」を表現するだけでなく、CGモデル特有の「CG臭さ」を極力抑えるよう意識して制作に取り組みました。
これらの工夫を通じて、単なるCGモデルの羅列ではなく、それぞれのオブジェクトが持つ物語や、そこにある空間の空気感まで感じられるような作品を目指しました。